岡山地方裁判所 昭和59年(わ)35号 判決 1984年11月26日
本籍
岡山県倉敷市菰池三丁目二五九番地
住居
同県同市菰池三丁目一番五号
会社役員
大森元市
昭和一一年一月二一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官牛江史彦出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月および罰金五、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、当時、倉敷市菰池三丁目一番五号において、「アサヒヤ衣料」の名称で被服縫製販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て
第一 昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は二億一、六九〇万四、八三〇円で、これに対する所得税額が一億四、五一一万四、五〇〇円であったにもかかわらず、収入金、仕入金、経費等の一部を除外する方法により所得を秘匿した上、同五六年三月一四日、同市児島小川五丁目一番六六号所在の児島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三八四万四、九〇五円で、これに対する所得税額が二二万九、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(昭和五六年押第七三号の一の一部)を提出し、もって不正の行為により右正規の所得税額との差額一億四、四八八万四、九〇〇円の所得税を免れ
第二 同五六年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は二億二、四三七万二、九四九円で、これに対する所得税額が一億四、七〇四万六、〇〇〇円であったにもかかわらず、前同様の手段方法により所得を秘匿した上、同五七年三月一五日、前記児島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四八九万円で、これに対する所得税額が四五万九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(前押号の二の一部)を提出し、もって不正の行為により右正規の所得税額との差額一億四、六五八万六、九〇〇円の所得税を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書(二通)
一 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三通)
一 真鍋恵子、香川幸三、内田哲夫、佐々木英夫、下河信明、藤原秀国、白神千秋、杉原一二三、大石光廣、藤井啓一のそれぞれ検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の調査書(六通)、および領置てん末書
一 押収にかかる昭和五五年、五六年分の所得税の確定申告書等(計二綴)(昭和五九年押第七三号の一、二)
(法令の適用)
一 判示所為
判示第一の所為につき
昭和五六年法律第五四号(脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律附則第五条により、同法)による改正前の所得税法第二三八条第一項、第二項
同第二の所為につき
所得税法第二三八条一項、第二項
一 刑種の決定
懲役刑および罰金刑併科
一 併合加重
刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(刑の重い判示第二の罪の刑に加重)、第四八条第二項
一 換刑処分
刑法第一八条
一 懲役刑の執行猶予
刑法第二五条第一項第一号
(裁判官 岩野寿雄)